Q.いい子になりたい
田舎の原風景の中で幼馴染と鬼ごっこやゲームや自転車やら。といった経験がまったくありません。
5才、同じ保育園の子が誰もいない分譲マンションに引っ越してきたとき
一生親友のできない生活がはじまりました。
園のみんなは去年のことや赤ちゃんだった頃のことばかり話していて、すでにペアができあがってる例のアレ。転園してきた奴をおもしろがってイジるなんてフィクションの世界だったみたいです。小学校ではまたしても幼稚園時代の話とか「あのときあれがああでおもしろかったね」的な。昨日の思い出がなければ明日の約束も生まれない。そうなってくるとご近所で生まれ育たないかぎり仲間以前に存在意義さえ危ういという嘘みたいなことが巻き起こっていてひたすらに恐怖というわけです。
小さい小さい子供に村社会の仕組みとか、ぼっちの尊さなんてわかるわけがない。それからはずっと現在まで"はみだし者""不適合"のワードが頭にひしめいています。
思春期になったら起死回生のチャンスがあると思いきや、足が速いとか目が大きいとか、くだらないことでもグループは固まってたりしてびっくりしました。こちらもこちらで部活での活躍は薄く、塾も特にいらず…またしてもしっくりくる居場所のない生活です。そうやって体のまわりをぐるぐる気味悪く巻きついてくるのは不可抗力としか言いようがなく、でも現実に友達がいないのは生き物として劣ってる気がしてならず。その落とし所として「自分が悪い」「だって選ばれなかったのだから」という価値観を無意識下に育てていったのだと思います。解消されない理不尽は自らに突きつけるというサイクルです。
だからとにかく弱い。ひたすら下手。自信が生まれる土壌がないわけだから。
誰かに話しかけてもらったことがないと「わたしは臭いのかも」「顔が気持ち悪いのかも」「声が?」「一重が?」「考え方か?!」
どんどんアイデンティティを否定して掻いて捨てていく。棒倒しのように芯はいつもグラグラです。
いい子になりたい。
A.とにかく誰かのいい子になりたい